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●祥洲の書とベンツのCM
メルセデス・ベンツのCM制作にたずさわって
祥洲にしか出来ない表現。祥洲にしか出来ない仕事。
それは誰もやっていない新たな表現領域へのチャレンジ。
しかし、安易に、変わったものや薄っぺらな偽物は
作らないように心がけてきたつもりです。
だから、墨による抽象作品も、iPod関連の書も
ギターへの書も、そしてデジタル作品も・・・
表層的には伝統とは異質なものに見えても
すべての自分の表現は、書の伝統の流れの内にあり
古典に根幹をおいたものであると思っています。
そして自らが生かされている現代(いま)という時代に対して
何が自分らしい生き様(表現)なのかを考えています。
今回、CM作品のご依頼をいただいて
まずはメルセデス・ベンツの歴史を調べました。
今年は自動車誕生から120周年。
その歴史の中で築き上げられてきた伝統をベースに
揺るぎない信念のもと、時流に惑わされることなく
数多くの「世界で初めて」を世に送り出し
自動車を極めるために進化し続けるメルセデス・ベンツ。
まさに自分の理想と重なるメルセデス・ベンツの歴史を知り
CM用の作品制作は、本当に気合いの入ったものとなりました。
また制作スタッフの皆様が本当に素晴らしい方々であり
選りすぐられた才能の集まりでもありました。
そんな人々が一つにまとまれば、当然、出来上がるものは最高。
私はCMの一つの素材を担当しただけにすぎませんが
本当に幸せな出会いであり、貴重な経験となりました。
●実際の制作について
2006年7月中旬に東京で打ち合わせがありました。
最終的なCM完成まで、残された時間は一ヶ月もない状況です。
打ち合わせの席でチェックしたCMの絵コンテは
完成度の高い素晴らしい内容で
また音楽も大変、魅力的でした。
帰りの新幹線の中で、スケジュールの調整連絡や
紙の発注を終え、京都に着いたその夜から制作をスタート。
仕事場での一週間の泊まり込み制作で、およそ130点を制作。
結局、100点に絞り込んで制作を終了。
大ヒットした100点の「月」一文字書による個展
「One Hundred MOON」。
この時は、日本・ドイツ・アメリカの三カ国分
発表総数は300点を超えましたが、制作期間は、3〜4ヶ月。
今回の制作がいかに充実したものであったかがわかります。
墨は、祥洲自家製の手作りの墨。
今回は特に上質な煤(スス)を使用し
細やかな表情の再現性が高くなりました。
この墨は、一瞬の白バックからパーカッションの音と共に
映し出される冒頭カット等に使用されています。
筆は、羊毛の大筆と草木筆を使用。
紙は、中国画仙紙を中心に、洋紙を数種類使用。
様々な「線」が
ボディにまで写り込みながら流れていくシーン。
そしてCMの印象的なラストのカットとなった・・・
メルセデス・ベンツ二台の背後で
実際にあのスケールに拡大され
静かに、そして力強くゆったりと揺れるシーン。
CMをご覧になって、私の「書」に
もし存在感を感じていただけたのなら・・・
それは伝統をベースにした「書の力」。
「書」は、やはり伝統を根っこにして養っていくもの。
日々、古典を模写(臨書)するということは
自分の根っこをしっかり守ることで
地面の上に見える部分だけを大切にしていたら
根っこが死んでしまいます。
書として究極の課題といってもいい「点」と「線」だけで、
100点以上もの作品を集中制作した今回の仕事。
さて皆さんの眼にどう映りましたでしょうか・・・
祥洲 記 2006.09.01 www.shoshu.jp
テレビCMは2007年夏までの
およそ一年のロングラン放映となりました
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